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気持ちのいい店 ~だる満~  京都 岡崎  

「おもてなし」って、こういうことを言うんだと教えられる、素敵なお店に出会いました。


 京都市美術館で開催中のマルグリット展を見るために岡崎公園に出かけた。混雑していた市営駐車場にやっとの思いで車を駐められたのは、もう1時半を過ぎていた。
 昼食をどこかで摂ろうとぶらぶらレストランを探した。一軒しゃれたイタリアンレストランを見つけた。貸し切りの予定があるらしく、2時半がラストオーダーと店前の掲示板にあったが入ってみた。吹き抜けのしゃれた作りの店内には、空席待ちの客が二組ほどあった。店員に今から予約表に名前書いてもラストオーダーに間に合うかと聞いてみると、「大丈夫ですよ」と言ってくれたので、名前と人数を書き入れた。
 しばらく待っていると食事を済ませた客が立ち、空きテーブルが2つできた。皿が片付けられたので、私の前に名前を書いた先客がすぐに案内されるだろうと待っていたが、いっこうに店員は来ない。そのうちもう1テーブルが空いたが、今度は片付けにもこない。店員はと言うと、他の客と談笑していたり、店員同士で何かをしゃべっている。挙げ句の果てには、待っている我々の横を一瞥もせずに通り過ぎていく店員もいる。
「客を待たせていることに何も感じないような店は、いくら作りがしゃれていても、料理がうまくてもダメやろ!混雑していて待つんなら仕方ないし何とも思わへん。この後ある貸し切りパーティーの準備で忙しいんかも知れん。でも、腹を空かせて待っている客に話し込んでる姿を見せたりして、客がどう思うかを考える想像力がなさ過ぎるやろ!接客を一体どう考えてるんや!」
 若い頃ならきっとそんなことを大声で言いながらキレてたに違いない。しかし、そもそも想像力のない相手に声を荒げてみたところで、思いはきちんと伝わらないし、変な客扱いされるのがオチだ。溜飲が下がるどころか逆に後味の悪さしか残らないことを、何度かある前歴で学んでいた私は怒ってるそぶりも見せず、店員に予約の取り消しを告げ外に出た。
 一緒にいた妻も同じ気持ちだったらしい。妻は飲食店に勤めてるのでなおさらだっただろう。

daruman6 道路に出て辺りを見回してみると「おばんざい」の看板が目についた。店を探して歩くのも疲れたし、たまにはこういう店もいいだろうと、入り口の前を見ると、また空席待ちの予約表が出ている。「腹減ったなぁ」と思いながらペンを取ろうとすると、中からにこやかな顔で中年の女性店員が出てきて
「空いてますのでどうぞ」
と声を掛けてくれた。
 足を踏み入れた店内は調度品や絵画などが、下手をすればごちゃごちゃとした印象を与えかねないほど沢山あって、独特の雰囲気があった。しかし落ち着かないといったものではなく微妙なバランスで整えられていておもしろい。
 案内された場所には4人用と2人用の2テーブルの空席があった。迷うことなく2人用に腰を下ろしていると、先ほどの店員がやってきて、
「次のお客さんもお二人さんやし、良かったら広い方、どうぞ」
と言って4人掛けのテーブルに私たちを移してくれた。思えば入り口に立っていた私たちに気づきドアを開けてくれたことから始まっていた、この見事な接客。さっきの店の対応で立っていたむかっ腹はあっという間に解消し、思わず
daruman4「他の店で嫌なことあって出てきたとこやねん。ええ店でうれしいわ」
とその店員に話しかけると
「ほんまですか。ありがとうございます」
とうれしそうな笑顔。ますますいい気分にさせてもらった。
 入ってきたときに目についたうまそうなバイキングスタイルのおばんざいにも心惹かれたが、いろいろ迷った末えび天丼を注文することにした。空腹が限界に達していた私は食い気味に
「大盛りって出来る?」
と尋ねると、その女性店員はちょっと笑いながら
「んー。『多め』なら無料、『大盛り』は250円です」
「それなら『多め』で」
と私も笑いながら答えた。内心、私は「はじめにええ店やとほめたから、ちょっと調子に乗ってはるんかな」と思ったが、そうではないことが後で分かる。この店はそういう店なのだ。 
daruman5 店内は満席で料理が出てくるまでには結構時間がかかったが、料理を持ってきてくれたときには、
「お待たせしてすみませんでした」
のことば。
「そやそや。これやん。これが当たり前の接客やん」
とうれしさがこみ上げてきた。
 酷い店の後では、当たり前のことばも宝石のような輝きを放つ。しかし先ほど書いた「後で分かる」ことはこれではもちろん無い。驚くべきことがこの後起こる。
 出てきた天丼は、最高だった。「多め」の盛りつけは、同じく天丼を注文した妻のものと比べて「大盛り」と言って差し支えない量が盛られていた。エピはもうこれでもかって言うほどにプリプリ。衣は添えられたどんぶりのタレをたっぷりかけたにもかかわらずサクサク。芸能人の食レポみたいに「うんまぁ(旨)!」と声を上げてしまいそうになった。本当は写真の天丼よりワンランク下のものを食べたのだが、それでも十分過ぎるほどに満足できるものだった。
 妻と舌鼓を打っていると、口ひげを蓄え、洋食レストランのシェフ風の衣服に身を包んだ男性が
「梨とリンゴで~す。どうぞ~」
と、バイキングコーナーにカットした梨とリンゴの大皿を置いた。どうやらこの店のマスターらしい。店構えからして、白い割烹着と帽子をかぶった大将を想像していたので、ちょっと意外な感じがした。その人は私たちのテーブルまで来て
「梨とリンゴ、よかったらどうぞ」
と言った。

 驚いた────

 バイキング料理をオーダーしてない私たちには、当然関係ないと思っていたからだ。
「あれはバイキングのメニューやないですから。私、農家ですねん。うちで採れたもんやし、よかったらどうぞ」
と言うと、他のテーブルにいた外国人観光客にも
「アップル アンド え~と、ナシ、フリーです、フリー。プリーズ、プリーズ」
と片言の英語で一生懸命伝えていた。
 なんて素敵な店なんだろう。偶然のこの店との出会いに本当に感謝した。
 せっかくのご厚意だし頂くことにした。沢山とろうかとも思ったが、この店の心づくしにつけ込むような気がして、ありがたく一切れずつ頂いた。素朴な味わいが染みた。 

 店を出るとき、ずっと私たちを給仕してくれていた女性店員に
「ほんまに、ここ、来て良かったです」
と言った。彼女は、またいい笑顔で
「ありがとうございました。いってらっしゃい」
そう言って私たちを見送ってくれた。

 美術館へ向かう私たちの足取りは軽かった。


京都 岡崎 潤いの空間「だる満」 ホームページ


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追記


 この記事を書いた後、他の店の悪口も書いてあるので、思わぬご迷惑をおかけすることになるのではとちょっと心配になり、だる満さんにこのブログのことをメールでお知らせしたところ、ご丁寧な返信をいただいた。
 私の拙い記事をとても喜んでくださり、また私たちを給仕してくださっていた方も喜んでくださったことが、お店の雰囲気そのままに、柔らかく温かい文面で綴られていた。

 こんな言葉もあった。

「職人的なキレはありませんが、母性的な、曖昧だけど育みの視点のある店でありたいと願っております」

やはりあの店には、ちゃんと哲学が存在していた。

 メールを通して新たに分かったことがあった。文面には訂正記事など必要ないとあり、お店をもっと知ってもらいたいという意図で書かれていたのだが、やはり訂正させていただこうと思う。
 なしとリンゴを配っていた男性がマスターというのは私の早とちりで、土壌改良を研究されているご主人のご友人で、お店をいろいろサポートされているのだそうだ。

 いいお店には素敵な人が集まるらしい。
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Posted on 2015/10/10 Sat. 23:14 [edit]

category: エッセイ

thread: 京都グルメ情報 - janre: 日記

tag: 京都  グルメ  岡崎公園 

コメント

☆風のいろさん

はは。似てますね。
結構はっきりしてるんですね。

以前、同じように腹の立つことがあって
今より少し若かったので大声あげて出てしまったことがあります。
綺麗なだけで、いい加減な仕事しかしない店員に腹が立ったんです。
長らく行ってなかったんですが
数年経ってから行ってみると、
顔で仕事している様な子達はみんな居なくなって
感じのいい店に変わってました。
きっと私以外にも沢山クレームあったんでしょうね。
だから、数年たってからまた行かれてみては?
美味しいお店ならもったいないですもん。

URL | きしもと #s7IGOOmQ
2015/11/03 09:34 | edit

私も同じです

最初の感じの悪かった店のこと、とってもわかります。
私も以前 気に入っていた店を 3カ所
サービスの点で嫌になって 二度と行かなくなりました。
いや… 2カ所目は きしもとさんと同じ、注文前に
やっぱり気持ちが変わって ごめんなさいして
何も食べずに出ましたっけ。
3つのお店とも おいしいお店だったので
行くところが少なくなり 不便な思いもしましたが
当時の思いが忘れられず 行ってません。

どんなにおいしい料理を出してくれても
サービスが悪い店は NGです。

URL | 風のいろ #afXvPe0k
2015/11/03 00:36 | edit

☆みむらんさん

私は飲食ではないですが
学ぶところの多い出会いでした。

>全く未定ですがいつか京都に行くことがあったら
そのときは連絡してくださいね。
きしもとタクシーいたしますよ(^_^)v

URL | きしもと #s7IGOOmQ
2015/10/12 22:10 | edit

こんにちは~。
ステキなお店との出会いでしたね。
初めてのお店は最初が肝心ですよね。
私も奥様と同じ飲食系の仕事をしているので
気を付けなければ・・・そうしなくちゃ・・・
と思う事ばかりでした。
週明けからシッカリ活かしていきたいと思います。
全く未定ですがいつか京都に行くことがあったら
『だる満』さんを訪ねてみたいと思います。
メモしとかなくちゃ(^^)

URL | みむらん #-
2015/10/12 09:53 | edit

☆pboysblueさん

あたたかいコメントありがとうございます

やっぱり何でも「こころ」が大事ですよね(^^)

オヤスミナサイ

URL | きしもと #s7IGOOmQ
2015/10/11 00:50 | edit

いい話です。

いい「話」じゃなくて「お店」と言うべきなんでしょうけど、
数百km彼方まで伝わってきました。
いい気分で眠れそうですよ。笑。
オヤスミナサイ。

URL | pboysblue #-
2015/10/11 00:08 | edit

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