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酩酊船 乗船  

 あれから、再び親父を見舞った。
 週末を待たずに行ったのは、姉から少し親父の状況を心配させるようなメールが届いたからだ。病状が悪化したというわけではなく、親父の精神状況の不安定さを思わせる内容だった。
 私が行ったときは、そのような精神の翳りは微塵もなかったと言うと、息子の前で頑張っていたんだろうという返事。
 そんなことを聞くと居ても立ってもいられず、私は病院に向かった。

 ベッドの上の親父は確かに少し元気がなさそうだったが、
「続編、書けたで。」
と言うと、どれどれ、という感じで携帯の画面をのぞき込み、「親父の背中」を読み始めた。
 読み終えた親父は、
「・・・・完成やな。続編を書くことで、初めの『肩越しの月』の話の純度があがっとる。これでええ。」
と、合格点をくれた。
 句読点の大切さや、人称の持つ意味についても話してくれた。
 当初、ここに掲載したときは「親父の背中」は「父の背中」というタイトルだった。書き出しは「親父」という人称で書き始め、親父を作家として再発見した場面からは人称を意図的に「親父」から「父」に変えていた。そうすることで私の親父への思いの変化が表現できると思ったからだ。
 しかし、
「これでは読み手に、『父』と『息子』の距離感が広がったように感じさせてしまうことになる。
 『息子』は『親父』を作家として再認識したことで、父親への理解がより深まったはずやろ。そこに距離感を感じさせる人称はふさわしくない。
 息子の父に対する気持ちの変化を、読み手は十分読み取れる。
 そんな計算された書き換えは、あざといし必要ないな。」
と、手厳しい指摘を受けた。
 何も言い返すことはできなかった。全て親父の言うとおりだと思った。
 私は携帯を操作し、その場で書き換えた。

 親父は、母が営む店の店番のために実家に行っている私の姉に電話をかけた。
「今から繁章(私の名)が家に帰る。書斎に「竹内和夫のやさしい文章教室」っていう本が何冊かあるから、それを出しておいてやってくれ。うん?・・・・ははは。繁章が弟子入りしてくれたからな。」
と親父は姉に嬉しそうに言った。
 「竹内和夫」というのは親父のペンネームで、親父は独身時代の旧姓のままで書き続けている。文章を書いてる時が本当の自分だという思いもあるのかもしれない。
 電話を切った親父は私に、
「お父ちゃんの生徒がまとめた本なんやけどな。カルチャースクールの講義録みたいなもんや。参考になると思うから持って帰れ。」
と言った。
 
 心配していた精神の翳りはどこにも見あたらないように思った。取り越し苦労なのなら嬉しいことだ。
 親父はやはり、作家なのだと改めて思った。
 文章を書き、文学について考え、語るとき、親父は最も輝くのだろう。

 後日、姉から、私の「親父の肩越しの月」と「親父の背中」の二編を1つの作品として「酩酊船」に載せるから、印字して原稿を送れと親父が言ってるという知らせが入った。
 「酩酊船」は親父が若いときに作家仲間と始めた同人誌で、長らく休刊していたのだが、十年ぐらい前から再開している。親父が一番大切にしている同人誌かもしれない。
 そこに私の駄文を載せると親父は言う。
 子どもの頃に憧れに近い気持ちで見上げていた「親父の文学の世界」に、私を加えるつもりらしい。
 時の流れに対する感慨と認めてもらった嬉しさ、そして息子としての気恥ずかしさが、今、綯い交ぜになっている。

 複雑な気持ちを抱えながら書籍向けの推敲をした。
 そして、編集に当たって下さっている親父の作家仲間の方への礼状を添え、原稿を投函した。
 ポストに入れる手が少し震えているのに気づき、苦笑した。




 実は親父を見舞うために病院に向かう時、気持ちが焦りすぎていた私は、高速道路を姫路市内で降りたところで、待ちかまえていたスピード違反の取り締まりに引っかかってしまった。
 40km/h制限の道を75km/hで走っていたらしい。35km/hオーバーだから免停だ・・・・(^^;)

 暗澹たる気持ちで取調に応じていたところ、若い女性も検挙され隣に座った。
 聞く気はなかったが聞こえてきた彼女の住所は滋賀県。
 同じようなところから走ってきてあげられてるなと思うと、なんだか妙な連帯感がわき微笑みかけたが、彼女は引きつって青ざめた顔のまま、こちらを向くことはなかった。(^o^)
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Posted on 2012/02/24 Fri. 22:06 [edit]

category: エッセイ

thread: エッセイ - janre: 小説・文学

コメント

>umechan へ

>しばらく運転できんしええか~ ってか= 
処分はまだ先のことやと思う。でも講習受けたら一日免停やで。

>サバサバサバ~~っとコーラスしたくなりました。
コーラスはちょっと迷うところやね。
ナーサンのデモでもコーラス入れてるけど
コーラス入れると軽くなるって言うか
重い感じに仕上げるのなら、コーラスはない方がええかもな

>自分のブログで先輩とこを紹介する方法らしきもの見つけたの>で、たぶんできるので勝手にしてみます。 
おおきにおおきに。うちは前からリンクしてるよ。気づいてた?

>お父様の文章教室の本、じゅぎょうで使いたいかも。探します。
そこらでは売ってないやろな。

友月書房 刊
島 雄 編著
竹内和夫の「やさしい文章教室」 十五章
定価735円

です。

URL | きしもと #s7IGOOmQ
2012/02/26 14:57 | edit

>ソライエさんへ

>このやり取りの中で
>お父様がどんどん回復される事を。
ありがとうございます。
そうなれば本当に嬉しいです。

>こんな時だから冷静に行動なさってくださいね。
>事故をおこさず、スピード違反で済んでラッキーぐらいに思って。
>看病する側の健康は本当に大事です。
本当にその通りですね。肝に銘じます。


URL | きしもと #s7IGOOmQ
2012/02/26 14:50 | edit

お見舞い申し上げます

ご無沙汰しています。やっとコメントの仕方が見つかった。。。

お父様大変ですね、お見舞い申し上げます。 先輩もそんなスピードで、、こういう時こそ冷静に。。って、しばらく運転できんしええか~ ってか= 

音源、聞きました! いいですね~  歌いたくなりました。
感想で、 サバサバサバ~~っとコーラスしたくなりました。

後半にかけてじわっと盛り上がってる感もよかったです。
楽しみにしています。

自分のブログで先輩とこを紹介する方法らしきもの見つけたので、たぶんできるので勝手にしてみます。 

お父様の文章教室の本、じゅぎょうで使いたいかも。探します。
乱文でゴメンナサイ。それではまた= 

URL | umechan #-
2012/02/26 03:02 | edit

一話ごとに深まっていくような。。。
高まっていくような。。。
このやり取りの中で
お父様がどんどん回復される事を。

こんな時だから冷静に行動なさってくださいね。
事故をおこさず、スピード違反で済んでラッキーぐらいに思って。
看病する側の健康は本当に大事です。

URL | ソライエ #-
2012/02/25 15:47 | edit

>まゆみさんへ

わははは。

って笑い事や無いですよ。
このくそ忙しい時期に免停やて!
高速降りたとこで75でアウトって・・・
ふつうやろ!!

URL | きしもと #s7IGOOmQ
2012/02/25 15:33 | edit

>なーさんへ

今日はよろしく。
ネズミがどんなロックになるのか
楽しみです。

URL | きしもと #s7IGOOmQ
2012/02/25 15:31 | edit

かっこえー(>_<)
お父さん、男っぽくてかっこえー☆☆☆
また 酩酊船 て名前のセンスのよさw(゜o゜)w


しげちゃんも
35㌔オーバーかっこえー☆☆☆(>_<)

URL | まゆみ #-
2012/02/25 13:37 | edit

ん、よくできました!
お前もここまでようおおきくなったのう~ ははは

情景が浮かぶぞ。数回しか伺ったことのない山崎のおうちとか・・・
ほんまお大事に。・・・な心配ないか・・・

さ、ふたまわり若いやつとギター弾いて、
「やさしくなりたい」を歌ってきますわ。


URL | nagai@wease on G #-
2012/02/25 10:58 | edit

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